現在では印刷会社、印刷ネット通販などに印刷を依頼する場合PDF形式でデータを持ち込むケースが増えていると思います。一概に「PDF」といっても色々な種類があるのをご存知でしょうか?ピンはWEBで閲覧できれば目的が達成するレベルから、キリはオフセット印刷で数十万枚印刷するのに使用可能なレベルまで、保存の解像度を考慮に入れれば数万種類のPDFが存在する事になります。
「PDF/X1a(以下X1a)」「PDF/X4(以下X4)」の形式は最終的に印刷する事を目的に設定された規格で、この2つが今の時点での印刷用PDFのスタンダードと言って良いかと思います。
上記のように「透明効果」(ここでは「ドロップシャドー」「グラデーション」も透明効果に含めます)を使用できるかできないかに一番の大きな違いがあります。「X1a」形式でPDFを作成したがよく見ると透明効果の周辺に存在しないはずの白い線が画面上に見えてしまう事が有ります。この線は印刷時には無くなったり、印刷しても白く出てしまう事があります。できれば画面上でも完璧にしておけば印刷ミスも無くなります。「X4」形式で作成すると、この現象は解消されます。但し印刷側でもX4対応のRIPで印刷しなければなりません
以上の事から今後すべて「X4」形式で作成すれば何の問題も無く、「X1a」など不要ではないかと思えます。が、「X4」は以下のデメリットが有ります。
●「APPE※」でのRIP可能なハイエンドRIPでないと効果が無い
●「X4」形式で保存できるアプリケーションが限られる(イラストレータ、インデザインのCS4以上、または最新のアクロバットが必須)
●ほとんどの透明効果は網羅しているが、一部「X1a」でも問題無いような部分で、文字飛び、文字の特殊効果などでトラブルが起こる(これらは現在Adobe社でも確認・補正できていないようです)
※「APPE」とはAdobe PDF Printer Engine」の略でデータ中の透明効果を最終RIPまで一切変換しないでRIPする最新のテクノロジーです。古いRIPでは対応していないケースが有ります。
尚、「APPE」が可能なRIPでも通常はCPSI(Configurable PostScrip Interpreter)でRIPしておりますので「X4」形式のPDFで印刷を依頼する場合は必ず「X4」形式で作成されたPDFと印刷依頼書に明記する必要があります。その記載がないと、「X4」のデータをCPSIでRIPし印刷する事となりますので予期しないエラーが発生する場合があります。
結論的に、当面は「X1a」と「X4」形式の特長を把握し、状況に応じ使い分けて行くことが賢明かと思います。弊社ではPOD印刷でAPPEでのRIPが可能です。
X1a | X4 |
PDF1.3がベース | PDF1.6がベース |
透明効果とレイヤーは使用不能 | 透明効果とレイヤーは使用可能 |
フォントは埋め込み |
イラストレータのデータ保存形式は主に「.ai」「.eps」「.pdf」の3つの形式が通常です。結論から言いますと「文字をアウトラインにしない(文字埋め込み)、トンボ付の「.pdf」データが最適です。オフセット印刷と違いPOD印刷では文字をアウトラインにしてしまうと、例えば8PT以下の小さな明朝体の文字などは少し太く印字されてしまいます(大きな文字に関してはどちらでも同じです)。
Adobe Acrobatのプリセットは「PDF/X1a:2001(日本)」又は「プレス品質」等の最高品質の設定を選んで下さい。Acrobatをお持ちでない場合は、文字をアウトラインにしない(文字を含んだ)「.eps」でも同じ結果ですが、トンボは実際に触れるトンボで作成し、トンボの外に材料やパスの残り等の「ゴミ」、指示の文字等を放置しないで下さい。面付け時に座標が狂う恐れがあります。どうしても「.ai」形式で入稿する場合は文字をアウトライン、使用画像を埋め込みにした方が良いでしょう。
イラストレータで作成時、バックに色を付けてその上に白文字を置いたレイアウトをして印刷したら、その白文字が印刷されずバックの背景のみになってしまい「文字抜け」になってしまいます。
文字色が「白」ですので通常はオーバープリントのメニューはグレーアウトされてオーバープリントをかけようとしてもかけられませんが、何らかの原因で白にオーバープリントが掛かってしまう場合があります。ご本人はチェックした覚えは無く、「全く原因がわからない???。」ということになります。
その原因は、低位のバージョンのイラストレータのドキュメントを、高位のバージョンで開いた場合や、始めは黒文字でオーバープリントをかけて作成し、その後「白」に変更した場合等にその症状が出るようです。
通常の会社や個人の方がお持ちのプリンターではオーバープリントの結果を反映して印刷できませんので気付くことができません。その場合はイラストレータのプルダウンメニューの「表示」→「オーバープリントプレビュー」をチェックするとオーバープリントがかかった状態のプレビューを見られます。オーバープリントをご使用の場合は必ずこのプレビューモードにて作業をする事が重要です。
イラストレータで「透明」や「ドロップシャドー」「グラデーション」等を使用した場合、その周りあたりの背景の色が他と異なって印刷されたり、画像の周りに薄く線が入っててしまった。
イラストレータの透明効果(「透明」「ドロップシャドー」「グラデーション」等)のトラブルについて
イラストレータで「透明」や「ドロップシャドー」「グラデーション」等を使用した場合、その周りあたりの背景の色が他と異なって印刷されたり、画像の周りに薄く線が入っててしまう事があります。
ここで言う「透明」とは通常の「透明効果」以外にも「ドロップシャドー」や「グラデーション」等も当てはまります。これらを誤った設定で使用した場合、出力時思わぬトラブルが発生する事があります。
作成したイラレデータを「eps.」形式で「別名で保存」してみると、『透明部分に特色が使用されている場合、illustrator以外でのプロセスカラーの変換では予期せぬ結果が生じることがあります。』というアラームメッセージが出る場合があります。
透明効果は「.ai」の状態では「透明」ですが、その他の「.eps、postscrip、PDF」つまり「PostscriptでRIPする印刷」の時には「透明に見える不透明のオブジェクト(ビットマップ)」に変換し出力します。その変換の際、イラストレータの設定に問題が有ると分割されたオブジェクトと分割されていないオブジェクトの境に、あるはずのない線が発生したり、背景の色が異なったりしてしまいます。イラストレータの画面やPDFでは正常に見られるので気づかない場合が多いので注意が必要です(またイラストレータからの直接出力でもトラブルは発生しません)。
これを避けるには「透明効果」(ドロップシャドー等)を作成する場合、以下の設定にしてください。
●イラストレータのプルダウンメニューの
●「効果」→「ドキュメントのラスタライズ効果」→72dpiから350dpiにする。
●「ドキュメント設定」→「透明」→「高解像度」(「カスタム」→「ベクトル」(100))にする。
●「スオッチ」の「未使用項目を選択」で使用していないスォッチをゴミ箱にいれて削除し、残ったスオッチリストに特色があればCMYK(プロセス)に変換しておく。
●「.ai」ではなく「.eps」にて保存して、保存時にエラーメッセージが出ていない事を確認する。
※上記の設定の前に透明効果を適用してしまった場合は、後で設定し直してもトラブルが改善しない場合があります。その際は上記設定にした「新規ドキュメント」を作り、現データのロックをすべて解除た後で「カット」し、新規ドキュメントに「コピー」すると(再ラスタライズ化となります)ほとんどの場合修復できます(グラデの見え方が変わる場合があります。その場合は再度調整してください)。
パワーポイントは用紙設定がスライド用のサイズがデフォルトとなってますので何も設定しないで作業をしてしまうとフチ無しサイズ(塗り足しが必要な印刷)の設定ができません。以下を設定してください。
1)用紙設定の幅、高さにサイズが入っておらずスライドサイズとなっております。「スライドサイズ」にA4と入れてもダメです。カスタムのサイズ入力箇所に「幅19.05cm」を21cm、「高さ27.512cm」を29.7cmと入力して下さい。
2)すると画面がA4サイズに再設定されて左右に白が出ますので調整して下さい。これで正式なA4サイズのドキュメントになります(その際、塗り足し用に1%程度拡大印刷しますのであまり用紙サイズギリギリに文字や重要な画像等を配置しないで余裕を持たせてください)。
また、もともと太い書体(例えば○○書体太字)にボールドがかけてしまうと、その文字が潰れてしまいます。もともと太い文字の書体はボールドをかけないで使用して下さい。
バージョン | MAC | WIN | 備 考 | |
イラストレータ | ALL | ○ | ○ | 文字埋込み(又はアウトライン化)、画像埋め込み、実線トンボ、のEPS保存データがベストです(出力が最高の品質で可能)。トンボの外に画像等ゴミデータの置き忘れが無いようにご注意下さい。 |
下記「よくある問題点」ベストな保存方法・白い文字が印刷されない・透明部分に異変」:参照 |
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インデザイン | ALL | ○ | ○ | 出力可能ですが、多くの場合フォントが合わないので、できればPDFにてご入稿下さい。 |
ワード | ALL | × | ○ | 透明・半透明はできる限り使用しないで下さい。「透明・半透明」を使用してしまった場合は弊社で対処致しますので、使用した箇所をお知らせ下さい。 |
パワーポイント | ALL | × | ○ |
透明・半透明はできる限り使用しないで下さい。「透明・半透明」を使用してしまった場合は弊社で対処致しますので、使用した箇所をお知らせ下さい。 |
エクセル | ALL | × | ○ | 透明・半透明はできる限り使用しないで下さい。「透明・半透明」を使用してしまった場合は弊社で対処致しますので、使用した箇所をお知らせ下さい。 |
- | ○ | ○ | 作成時にPDFx1a (Acrobat5.0互換)又はプレス品質にて作成して下さい。 |
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下記「よくある問題点」印刷にベストなPDFとは?:参照 |
※上記のアプリ以外のアプリも対応可能な場合が有ります。事前にお問い合わせ下さい。